念願…というか悲願だった『シェルブール』へ行ってきました。
正確に言うと、映画『シェルブールの雨傘』が撮影されたロケ地へ。
シェルブールはフランスのノルマンディー地方にある人口3万数千人の小都市です。
映画の名称と、画面に映し出されるカラフルで美しい街並み、そして有名すぎる映画音楽で世界的に有名になった『シェルブール』。
日本の市町村ならこの機を逃さずに町おこしをするところ、シェルブールは気高いのか「映画なんて過去の話さ」と何事もなかったかのような日常。
それどころか合併までしてしまい、現在は『シェルブール=オクトヴィル(Cherbourg-Octeville)』という名称になってしまってます。
合併前の有名な地名を存続させないとは、行政からして「映画になんて頼らないよ!」という姿勢なのかなと思ったものです。
この気高さが観光客泣かせだったようで、過去のシェルブール観光記事を読んでも、人によってはロケ地がなかなか見つからずに苦労していた感じでした。
僕も、「ぶらぶら街歩きして見つかればラッキー」くらいに考えてシェルブールへやってきました。
が、来てみると知らぬ間にロケ地巡りしやすい環境が整ってきたようで、とても効率が良いロケ地巡りができました。
どのようにロケ地巡りをしてきたかを紹介しようと思います。
シーン順にロケ地辿り(前半戦)
シェルブールに到着し、ぶらぶら街歩きしながらロケ地を見つけてきました。
「見つかればラッキー」感覚。
ここではシーン順に編集しました。実際に見つけた順番とは異なります。
1 オープニング
映画のシーンはこちら。
現在の様子。
メルキュールホテルや大規模商業施設(カルフール等)が建てられたから大きく変わったのかと思いきや、こうして比べてみると意外と変わっていない様子。
少し引き気味に撮影。
下を向いて撮影。
映画をご覧になった方ならお判りでしょう。
この画を撮影することがどれだけ重要なことかが。
いやマジ感動っス。鳥肌モノ。
って、縦横逆に写していたことが判明。
2 ギイが自転車でジュヌヴィエーヴが働く雨傘店へ行く場面
映画のシーンはこちら。
現在の『シェルブールの雨傘』店は
映画のシーンはこちら。
看板は当時のまま保存されているようですが、店自体はパッチワーク店と業態が違います。
駅から宿へ向かう途中に偶然見つけてしまい、心の準備ができてなかったのでのけぞってしまった記憶が。
翌朝。開店前を見計らって店内を撮影しました。
3 2人が「カルメン」を観に会場に入る場面
映画のシーンはこちら。
現在はこちら。
映画の中から飛び出してきたのではと思うほど当時のままです。
全容はこちら。
どうやら図書館?のようです。
併設しているカフェも健在でしたね~。
4 2人が夜中の港を歩く場面
カサールがジュヌヴィエーヴと港を歩く場面
行ってみて初めて分かりました。
同じ場所を歩いていたことを……なんと残酷な。
現在の様子。
ジュヌヴィエーヴの肩の上に映っている建物を偶然撮影していました。
5 兵役のためギイが列車に乗る場面
まずはシェルブール駅から。
映画のシーンはこちら。
現在の様子。
映画の中から飛び出してきた(略。
旧駅舎はSNCFの執務室だったりレンタカー会社が間借りしてと言った感じです。
車が多いのはレンタカーのせいかもしれません。
ギイを乗せた列車が出発する場面です。名場面の一つですね。
ちょっとズレましたね。
時計のある場所もちょっと違っているようです。
映画での出発時刻は4:28だったのですね。
同じ時刻に撮影できればと思っていたのですが、何時だったかな~と思い出せず。
6 ギイ不在の間、カーニバルが実施される場面
映画のシーンはこちら。
見てきたときはよくわからなかったのですが、改めて映画を見ると雨傘店の前の道で実施されていたことがわかります。
7 カサールとジュヌヴィエーヴが教会で結婚式を挙げる場面
映画のシーンはこちら
現在の様子。
8 兵役から戻ってきたギイが経営するガソリンスタンドにジュヌヴィエーヴが客としてやってくる場面
このシーンが一番お気に入り…というか鳥肌が立つほど心を揺さぶられる場面でした。
映画のシーンはこちら。
面影は全く残っていません。
このガソリンスタンド、てっきり郊外の内陸部にあるものとばかり思っていました。
だから、このロケ地を見ることは叶わないだろうと思っていたのですが、シェルブール駅の近くと街の真ん中にあることがわかりビックリ。
よくよく見ると、
窓の外に船が映っています。
ああ、真っ暗だったのは目の前が海だったからなのね~と納得。
真っ暗なのが「郊外にある」と思った理由だったので。
しかし、面影が全く残っていないガソリンスタンドの場所を僕はどうやって知りえたのでしょうか。
○○を参考に再度ロケ地巡り(後半戦)
十分心が満たされてホテルに戻り、他の観光地でもないかな~とネット検索したら、偶然出てきたのですよ。これが。
シェルブール市?地域?のサイト
Cherbourg-Octeville: Parapluies de Cherbourg
リンク先にあったオンライン本
こ、こんなものがあったとは!!!!
コレを紹介している旅行記などなかったはず。
2013年に出版されたようなので、つい最近なのですね。
喜び勇んで、スマホ画面にオンライン本を映しながらロケ地巡りをしたのは言うまでもありません。
以下後半戦(半分は2週目)です。
Escale1 シェルブール雨傘店前
Escale2 シェルブール雨傘店前でカーニバルが行われた通り
Escale3 結婚式が行われた教会
Escale4
うーん、同じ場所とはよくわかりません……
Escale5 ダンスホール
「カルメン」の後に行った場所です。
面影が残っていなくて、カチンコがないとわかりません……
Escale6 ギイが勤務していた自動車整備工場
こちらも面影はありません。
Escale7 オペラ「カルメン」会場
カチンコが見つかりませんでした。
シーン別でご覧ください。
Escale8 2人が夜中の港を歩く場面
もカチンコが見つかりませんでした。
シーン別でご覧ください。
Escale9 ガソリンスタンド
そう。ガソリンスタンドの場所がわかったのは、この『神本』のおかげだったのです!!
(実際は後半戦で初めて訪れたのですが、話の流れ上前半戦に持ってきました)
まとめ
半世紀前の映画なのに、当時と同じような状態となっている建物が意外なほど多くて驚きました。
駅…雨傘店…シアター…結婚式の教会…あのシーンがそのまま眼前に現れるので、出くわすたび「おお~」と鳥肌がたったものです。
イージーリスニングの映画音楽にハマったのが中学生時代。
一方、映画音楽の元となる映画を見たのは大人になってから。
音楽と映像にタイムラグがあったのですが、「音楽に負けているな」という映画が結構多かったのです。
しかし、『シェルブールの雨傘』は、音楽に負けないくらい物語や映像自体も素晴らしかったと思った数少ない映画だったのです。
映画を観て以来『いつかはシェルブールへ』と思うようになりました。
で、思うだけではなく実現しようと思ったのは、数年前にCSで偶然『デジタルリマスター版』を観たとき。
当時も美しかったと思った風景がより鮮明な映像として目の前に現れたのですから、心を奪われてしまうのも無理はありません。
ここまで紹介した場所はすべて市街地内にあり、すべて徒歩で巡ることが可能です。
神本があれば迷うこともなく、1~2時間もあれば一回りできるはずです。
パリから在来線で3時間半と決して便利ではない場所にある一方、現在はロケ地巡りも楽になってます。
物騒なパリを離れ、あの映画の舞台に身を置くチャンスがやってきたと言えるでしょう。
シェルブール駅から最も遠いロケ地までも徒歩15分程度。
ロケ地巡り目的であれば、パリから十分日帰り可能です。
ただ、ロケ地を抜きにしてもシェルブール自体が美しい港町。
港町だからか、なぜかとても旅情をそそるのです。
あまりにも気に入ってしまったので、1泊の予定を急遽2泊にしたくらい。
本記事では2周分を紹介しましたが、朝から夜まで時間帯を替えつつ4~5周していたりします。
雨傘店の店員などは、「あの中国人また来ているよ…」と思ったことでしょう。
現地では、このようなツイートを残しています。
映画のシーンを思い出しつつ、幸せを噛み締めながら街歩き。ここでは観光客を見ないので、異邦人気分になれるのもイイね。 pic.twitter.com/0VfO3r8tVL
— poya@FUK (@poyatrip) 2017年9月22日
そんなシェルブールの魅力やアクセス方法などは、別記事で紹介したいと思います。
参考情報
映画『シェルブールの雨傘』
行く前にBD録画した映画を観て予習はしたのですが、行った後に改めて観ると全然違いますね。
本当に行ってよかったと思いました。
Youtubeで英語版がアップされていました。
Les parapluies de Cherbourg (1964)(SUBS EN/ES/BG) – YouTube
時間があれば、是非観てくださいね。
Googlemapを利用した主な位置関係
ルート順番は
- シェルブール駅
- オープニング場面
- シェルブール雨傘店(現在はパッチワーク店)
- 結婚式を挙げた教会
- シアター(現在は図書館)
- ジュヌヴィエーヴが二人の男と歩いた道
ガソリンスタンドのロケ地は、ここから駅へ戻る途中にあります。
ストリートビューで雨傘店を見たら、シェルブールの雨傘関係のモノが展示されていてフッと笑ってしまいました。
平常時のディスプレイと全然違うではないか!と。
たまたま何かのイベント中だったのか、撮影車が通るのを知って準備しておいたのか…
はじめまして!
素敵な写真と記事ですね(^-^)
見惚れてしまいました。
きゃびあ さま
はじめまして!
クルーズ船の寄港地になることもあるようなので、機会がありましたら是非。
シェルブールの雨傘は、私にとって半世紀を経た今もピカ一の曲で、現地にも行くつもりでいます。
私と同じ様な人がおられた事、かようなお役だちのブログを作っておられた事、感謝感激です。
今はコロナで海外旅行どころではありませんが、収まれば必ず。
メルシーボクウ。
清水愛子 さま
はじめまして!
マニアックな記事でお役に立てたこと幸いです。
シェルブールは映画のロケ地ではあることはもちろん、その街並み自体が美しいので旅行先としておすすめです。
パリから時間がかかりますが、機会があればぜひ訪れてみてください!