もくじ
アジア・マイルプログラムの改定は改悪?それとも改善?
2018年6月22日より、アジア・マイルのプログラムが改定される旨お知らせがありました。アジア・マイルとは、キャセイ・パシフィック航空(ワンワールド加盟)のマイレージプログラムのことで、私自身は2001年に入会、ダブルマイルキャンペーン等のタイミングでマイルを貯め、何度か香港往復の特典航空券に交換したことがあります。
これまでの苦い経験から、マイレージプログラムの改定に関しては「改定⇒改悪」と勝手に脳内変換するようになってしまっていますが、今回も改悪となってしまったのでしょうか。
アジア・マイルから届いたメールをもとに各路線で調べた結果、「玉石混交(改善されたものもあれば、改悪されたものもある)」であることがわかりました。
果たして、何が改善され何が改悪されたのでしょうか?
アジア・マイル プログラム改定概要
貯め方に関する改定概要
- キャセイパシフィック、キャセイドラゴンのフライト利用に限り、客室クラス・予約クラス・距離ゾーンの組み合わせに基づいたマイル獲得に変更
- JALほか提携航空会社は従来通り
使い方に関する改定概要
- 特典航空券で予約できる座席数が従来より20%以上増加
- フライト特典がこれまでの往復⇒片道設定になることで往復で異なる客室クラスでの予約が可能、よりフレキシブルに
- 必要マイル数はエコノミーは従来より少なく、上位クラス(特に長距離路線)は従来より多くなる
貯め方は改善なのか改悪なのかよくわからない…使い方は何となく改善のような気がする…と言う感想をお持ちになったかと思います。
ただ、マイレージプログラムの改悪で痛い目にあい続けてきた習性から、口当たりの良い(?)文章を鵜呑みにできないマイラーも多いでしょう。私含めて「何か裏があるのではないか?」と。
本当に改善なのか?それとも何か裏があって実は改悪ではないのか?徹底的に検証してまいります。
アジア・マイル プログラム改定詳細
貯め方に関する改定詳細
フライトマイルに関しては、これまでの飛行距離をベースに客室クラスや予約クラスを勘案した積算率を乗じたマイルから、距離ゾーンベースと大幅な変更となっています。
もう少しわかりやすく言えば、751~2,750マイルの範囲内では、客室クラスと予約クラスが同じなら、獲得マイル数は全く同じということです。
具体例として、日本各地からキャセイパシフィック・キャセイドラゴン直行便を利用して格安エコノミークラス(S,N,Q)で香港か台北を往復した場合、獲得マイル数がどのように変わるかをまとめました。
路線 | 往復 | 獲得マイル | ||
マイル | 現行 | 改定後 | ||
成田 | 香港 | 3,680 | 920 | 2,000 |
台北 | 2,712 | 678 | 2,000 | |
大阪 | 香港 | 3,078 | 770 | 2,000 |
台北 | 2,120 | 530 | 2,000 | |
名古屋 | 香港 | 3,280 | 820 | 2,000 |
台北 | 2,296 | 574 | 2,000 | |
福岡 | 香港 | 2,544 | 636 | 2,000 |
札幌 | 香港 | 4,262 | 1,066 | 2,000 |
沖縄 | 香港 | 1,812 | 453 | 2,000 |
日本発着便は全て751~2,750マイル(近距離)の範囲なので、改定後は一律1,000アジアマイル/区間を獲得、往復で2,000マイル獲得できることになります。格安エコノミークラス利用の場合、大幅な改善となっているのは一目瞭然ですね。
また、格安でないエコノミークラスを利用した場合は往復で3,800マイルか4,000マイル貯まります。上の表で3,800マイル以下の場合は改定後の方がお得となりますので、格安でないエコノミークラスであっても、札幌線以外は全て改善となっていることがわかります。
ただし、この改善はキャセイパシフィック・キャセイドラゴン利用のみに適用、他の提携航空会社は従来通り(飛行距離をベースに客室クラスや予約クラスを勘案した積算率)となっていることを頭の片隅に入れておきましょう。
なお、6月21日までに発券された6/22以降のキャセイパシフィック、キャセイドラゴンの航空券については、改定前、改定後での獲得アジア・マイル数のうち、いずれか多い方のマイル数を積算、だそうです。
使い方に関する改定詳細
フライト特典が片道設定となりフレキシブルに
特典航空券は、現行でも片道で予約できないことはなかったのですが、原則は往復同クラス、片道の場合は割高となり、必要マイル数が往復マイル数の半分より多かったのです。
現行の特典チャートは以下の通り。
これが、改定により片道は往復の半分に、且つフレキシブルに予約できることで、これは大幅な改善と言い切ってよいでしょう。
例えば往復予約で「往路:エコノミークラスのみ、復路:ビジネスクラスのみ」しか空席がなかった場合、同クラス制限のある現行では泣く泣くあきらめなくてはならなかったのが、改定後にはバッチリ予約発券できるようになるのです!
さて。最大の問題は、特典航空券発券に必要なマイル数はどうなるのか?ということだと思います。
「ゾーン」の区切り方が変わる
その前に、まず前提として押さえておくべきことは、「ゾーン」の考え方が変わるということです。「ゾーン(距離)制」そのものは従来通りですが、区切り方が変わりました。ついでに、名称も変わっています。現行のゾーン(A~C)と改定後のゾーン(超近距離~中距離)の関係を以下の表にまとめました。必要に応じて、上のスクリーンショットと見比べてください。
距離(マイル) | ゾーン | |
現行 | 改定後 | |
601-750 | A | 超近距離 |
751-1,200 | 近距離 | |
1,201-2,500 | B | 近距離 |
2,501-2,750 | C | 近距離 |
2,751-5,000 | 中距離 |
必ずしも1対1で対応していないことがおわかりになったかと思います。
何となく、スキマとなった751-1,200マイル・2,501-2,750マイルの路線で影響がありそう…と予感したのではないでしょうか。
それでは、改定後の必要マイル数を含め、具体的な路線に落とし込んで比較しようと思います。
日本発着キャセイパシフィック各路線への影響
直行便(日本各地~香港・台北)の場合
改定後は、一律「近距離(751-2,750マイル)」に区分されることとなりました。現行では「A(601-1,200マイル)」に区分されていた大阪・名古屋~台北線や沖縄から香港線も同様です。
片道 | 特典ゾーン | |||
マイル | 現行 | 改定後 | ||
成田、羽田 | 香港 | 1,840 | B | 近 |
台北 | 1,356 | B | 近 | |
大阪 | 香港 | 1,539 | B | 近 |
台北 | 1,060 | A | 近 | |
名古屋 | 香港 | 1,640 | B | 近 |
台北 | 1,148 | A | 近 | |
福岡 | 香港 | 1,272 | B | 近 |
札幌 | 香港 | 2,131 | B | 近 |
沖縄 | 香港 | 906 | A | 近 |
成田~香港他、現行Bゾーン、改定後近距離の組み合わせで必要マイル数を比較すると以下の通りとなります。
B・近 | エコノミー | ビジネス | ||
現行 | 改定後 | 現行 | 改定後 | |
片道 | 20,000 | 10,000 | 30,000 | 25,000 |
往復 | 30,000 | 20,000 | 50,000 | 50,000 |
これは大幅な改善と言い切ってよいでしょう。特に、エコノミークラスの必要マイルが減り、日系航空会社(ANA・JAL)やブリティッシュエアウェイズとそん色ないお得度となったのは朗報と言えましょう。
そして、大阪~台北他、現行Aゾーンの場合はどうなるでしょうか?
A・近 | エコノミー | ビジネス | ||
現行 | 改定後 | 現行 | 改定後 | |
片道 | 15,000 | 10,000 | 20,000 | 25,000 |
往復 | 20,000 | 20,000 | 40,000 | 50,000 |
エコノミークラスは概ね現行通り(ちょい改善)、ビジネスクラスは改悪となりることがわかります。対象路線を利用する予定があれば、今のうちに発券しておきましょう。
経由便(日本各地~香港経由東南アジア各地)の場合
次は、日本各地から香港を経由して東南アジア各地へ行く場合です。
路線(香港経由) | 片道 | 特典ゾーン | ||
マイル | 現行 | 改定後 | ||
東京(*距離は成田発着の場合) | ハノイ | 2,364* | B | 近 |
シェムリアップ | 2,744* | C | 近 | |
ホーチミン | 2,768* | C | 中 | |
バンコク | 2,889* | C | 中 | |
大阪 | シェムリアップ | 2,442 | B | 近 |
バンコク | 2,587 | C | 近 | |
ヤンゴン | 2,753 | C | 中 | |
名古屋 | シェムリアップ | 2,533 | C | 近 |
バンコク | 2,679 | C | 近 | |
福岡 | バンコク | 2,321 | B | 近 |
ヤンゴン | 2,488 | B | 近 | |
ペナン | 2,760 | C | 中 | |
札幌 | ハノイ | 2,653 | C | 近 |
沖縄 | シンガポール | 2,498 | B | 近 |
なお、調査した路線は代表的なもので、上表を見れば組み合わせが想像できる路線は掲載していません。(例:東京~シンガポール。バンコクよりも遠いのは明らかなので)
現行の「C(2,501-5,000)」ゾーンが改定後に「近距離(751-2,750マイル)」区分となる、要は2,501-2,750マイルの間にある路線(例:東京-シェムリアップ)はこんな感じで大幅な改善となることがわかります。
C・近 | エコノミー | ビジネス | ||
現行 | 改定後 | 現行 | 改定後 | |
片道 | 25,000 | 10,000 | 45,000 | 25,000 |
往復 | 45,000 | 20,000 | 80,000 | 50,000 |
(参考)日本各地発着必要マイル数早見表
往復特典 路線別チャート
路線(香港・台北以外はすべて香港経由) | 距離 | エコノミー | ビジネス | |||
マイル | 現行 | 改定後 | 現行 | 改定後 | ||
東京(*距離は成田発着の場合) | 香港 | 1,840* | 30,000 | 20,000 | 50,000 | 50,000 |
台北 | 1,356* | 30,000 | 20,000 | 50,000 | 50,000 | |
ハノイ | 2,364* | 30,000 | 20,000 | 50,000 | 50,000 | |
シェムリアップ | 2,744* | 45,000 | 20,000 | 80,000 | 50,000 | |
ホーチミン(注) | 2,768* | 45,000 | 44,000 | 80,000 | 90,000 | |
バンコク | 2,889* | 45,000 | 44,000 | 80,000 | 90,000 | |
大阪 | 香港 | 1,539 | 30,000 | 20,000 | 50,000 | 50,000 |
台北 | 1,060 | 20,000 | 20,000 | 40,000 | 50,000 | |
シェムリアップ | 2,442 | 30,000 | 20,000 | 50,000 | 50,000 | |
バンコク | 2,587 | 45,000 | 20,000 | 80,000 | 50,000 | |
ヤンゴン | 2,753 | 45,000 | 44,000 | 80,000 | 90,000 | |
名古屋 | 香港 | 1,640 | 30,000 | 20,000 | 50,000 | 50,000 |
台北 | 1,148 | 20,000 | 20,000 | 40,000 | 50,000 | |
シェムリアップ | 2,533 | 45,000 | 20,000 | 80,000 | 50,000 | |
バンコク | 2,679 | 45,000 | 20,000 | 80,000 | 50,000 | |
福岡 | 香港 | 1,272 | 30,000 | 20,000 | 50,000 | 50,000 |
バンコク | 2,321 | 30,000 | 20,000 | 50,000 | 50,000 | |
ヤンゴン | 2,488 | 30,000 | 20,000 | 50,000 | 50,000 | |
ペナン | 2,760 | 45,000 | 44,000 | 80,000 | 90,000 | |
札幌 | 香港 | 2,131 | 30,000 | 20,000 | 50,000 | 50,000 |
ハノイ | 2,653 | 45,000 | 20,000 | 80,000 | 50,000 | |
沖縄 | 香港 | 906 | 20,000 | 20,000 | 40,000 | 50,000 |
シンガポール | 2,498 | 30,000 | 20,000 | 50,000 | 50,000 |
(注)東京~ホーチミンは、羽田発着なら「近距離」に区分される可能性があります。以下片道も同じ。
片道特典 路線別チャート
路線(香港・台北以外はすべて香港経由) | 距離 | エコノミー | ビジネス | |||
マイル | 現行 | 改定後 | 現行 | 改定後 | ||
東京(*距離は成田発着の場合) | 香港 | 1,840 | 20,000 | 10,000 | 30,000 | 25,000 |
台北 | 1,356 | 20,000 | 10,000 | 30,000 | 25,000 | |
ハノイ | 2,364 | 20,000 | 10,000 | 30,000 | 25,000 | |
シェムリアップ | 2,744 | 25,000 | 10,000 | 45,000 | 25,000 | |
ホーチミン | 2,768 | 25,000 | 22,000 | 45,000 | 45,000 | |
バンコク | 2,889 | 25,000 | 22,000 | 45,000 | 45,000 | |
大阪 | 香港 | 1,539 | 20,000 | 10,000 | 30,000 | 25,000 |
台北 | 1,060 | 15,000 | 10,000 | 20,000 | 25,000 | |
シェムリアップ | 2,442 | 20,000 | 10,000 | 30,000 | 25,000 | |
バンコク | 2,587 | 25,000 | 10,000 | 45,000 | 25,000 | |
ヤンゴン | 2,753 | 25,000 | 22,000 | 45,000 | 45,000 | |
名古屋 | 香港 | 1,640 | 20,000 | 10,000 | 30,000 | 25,000 |
台北 | 1,148 | 15,000 | 10,000 | 20,000 | 25,000 | |
シェムリアップ | 2,533 | 25,000 | 10,000 | 45,000 | 25,000 | |
バンコク | 2,679 | 25,000 | 10,000 | 45,000 | 25,000 | |
福岡 | 香港 | 1,272 | 20,000 | 10,000 | 30,000 | 25,000 |
バンコク | 2,321 | 20,000 | 10,000 | 30,000 | 25,000 | |
ヤンゴン | 2,488 | 20,000 | 10,000 | 30,000 | 25,000 | |
ペナン | 2,760 | 25,000 | 22,000 | 45,000 | 45,000 | |
札幌 | 香港 | 2,131 | 20,000 | 10,000 | 30,000 | 25,000 |
ハノイ | 2,653 | 25,000 | 10,000 | 45,000 | 25,000 | |
沖縄 | 香港 | 906 | 15,000 | 10,000 | 20,000 | 25,000 |
シンガポール | 2,498 | 20,000 | 10,000 | 30,000 | 25,000 |
黄色く色塗りしているのが「改定後はお得になるのでもう少し待つべき」な路線、灰色で色塗りしている路線は「改定後は損になるので発券するなら今のうち」な路線となります。「お得」には、日系航空会社のマイレージプログラム(必要マイル数)との比較結果も含んでいます。
ANAやJALよりも必要マイル数が少なく済む場合
特に、近い東南アジア(ベトナム、カンボジア等)へ行くときに最大のメリットを感じることが出来るでしょう。
特典航空券発券に必要なマイルを日系航空会社と比較すると、以下のとおり。
往復 | キャセイ | ANA | JAL |
Y | 20,000 | 35,000 | 35,000 |
C | 50,000 | 60,000 | 80,000 |
片道 | キャセイ | ANA | JAL |
Y | 10,000 | 不可 | 17,500 |
C | 25,000 | 不可 | 40,000 |
ANAとJALは時期や利用会社によって多少変動がありますが、いずれにしてもアジアマイルの優位性は変わりません。ただし、遠い東南アジア(シンガポール等)へ行く場合は一気に必要マイル数が増加してしまうので、注意してください。
ファーストクラスの改定内容は?
これまでは、ビジネスクラス迄の説明をしてまいりました。(プレミアムエコノミーは紙面の都合上省略しています)肝心のファーストクラスは?
近距離路線では東京~香港路線とか極めて限られていますが、ファーストクラスの設定もございます。こちらに関しては以下の通りとなり…
現行 | 改定後 | |
片道 | 40,000 | 40,000 |
往復 | 70,000 | 80,000 |
例えば東京~香港を往復で利用する場合、10,000マイルの追加が必要となり大幅な改悪となってしまいました……
東京~香港をファーストクラスで往復する夢を叶えるためだけに70,000アジアマイルを残していたのが、改悪によって果たせなくなってしまい……
私事ですが、来年秋~冬あたりに利用する予定が
- 6/21までに予約発券(今年度旅行の場合は福岡-東京往復のフライトを別途確保)
- 6/21までに予約発券(来年度東京へ戻る場合は6/上旬までに旅行完了)
- スターポイントの中から10,000ポイントをアジアマイルへ移行、東京に戻った後改めて80,000マイル使って発券
のいずれかを選択せざるを得ない状況に。正直、ショックを隠し切れません……
アジアマイル プログラム改定内容まとめ
調査結果等を踏まえ、以下の通りまとめました。
- 全体として片道特典に必要なマイル数が減り、異なるクラスを使い分けられるようになり使い勝手がUP
- 特にベトナム、カンボジアなど日本から近い東南アジアへ行く場合は大幅な改善、必要マイル数は日系航空会社よりも少なくお得度UP
- 日本各地~香港路線も概ね改善、必要マイル数は日系航空会社とそん色なし
- その他遠方東南アジア路線(バンコク・シンガポール)等は概ね現行通り、ただし日系航空会社の方が必要マイル数が少なく、香港迷以外アジアマイルを利用するメリットはあまりない
- ファーストクラスや一部近距離路線は必要マイル数が増加し、改悪
- キャセイパシフィック・キャセイドラゴンに限りマイルが貯めやすくなり改善
アンコールワットを見に行くとかベトナム雑貨を買いまくるとか言う予定があってマイルを貯めたいということであれば、今後はアジア・マイルがベストな選択肢の一つとなるでしょう。
参考記事
東南アジアへ行くなら、エーゲ航空の必要マイル数も少なくておススメです。

改定後すぐにルート検索した時は香港乗継の東南アジア方面は東京ーホーチミンは近距離マイルで出ていたのですが、今朝検索しても引っかからない…。
特典航空券の検索画面のところに…乗継の場合は2都市以上…と記載が。
もしやこれは…。